潜伏キリシタン関連での世界遺産登録で注目を集める、長崎。
世界遺産に含まれる大浦天主堂の隣に、長崎の観光スポットの定番のひとつ、「グラバー園」があります。
長崎港を見下ろす高台にある、優雅な庭園。その広さは、三万平方メートル。
あたりには季節の花々が咲き誇り、さっと吹き抜ける風が心地よく頬をなでていきます。
ここは、かつて長崎に暮らしたある外国人の敷地でした。
その外国人とは、日本の近代化の礎を築いた、トーマス・ブレイク・グラバー。
スコットランド出身の商人だったグラバーの身辺には、さまざまな風評が渦巻いています。
「金の亡者、冷酷無比の武器商人」「日本の夜明けのために尽力した文明開化の功労者」「秘密結社のスパイ」「坂本龍馬の後ろ盾になった人情派」
それらを全て差し引いても、グラバーの功績は歴史が証明しています。
日本で初めて蒸気機関車を走らせた男、長崎を造船の街として知らしめるために造った西洋式ドック。
炭鉱の経営に、お茶の貿易や国産ビールの開発。
150年前の日本になくてはならない「挑戦」という二文字を、計画、実践したのです。
彼は日本人の女性と結婚、外国人としては異例の勲章を受け取り、文字通り、日本に骨をうずめたのです。
弱冠21歳で日本にやってきた異国の若者が、なにゆえそこまで日本にのめり込んだのか…。
そこには、彼の野心がありました。
幼い頃、いつも眺めていた、海。
「あの海の向こうには、いったいどんな世界があるんだろう。たった一回の人生、ボクはここから飛びだして、全部知りたい」
野心を持ち続けることができた、幕末の偉人、グラバーが人生でつかんだ明日へのyes!とは?